福島県天栄村と下郷町の境に位置する標高1,544mの二岐山(ふたまたやま)。那須連山の北端にある丸みを帯びた双耳峰が目印です。ふたつの山頂はそれぞれ男岳、女岳と呼ばれ、ダイタンボウという大男が股間を山頂にぶつけて山がふたつに分かれてしまったという伝説があるそうです。
二岐山の登山の魅力は、ブナ平の森のトンネルから降り注ぐ心地良い木洩れ日と、男岳山頂からの大パノラマ、さらに山全体が燃えるように彩られる秋の紅葉です。数軒の温泉宿がある麓の集落を起点に、静かな山旅を楽しむことができます。
国道118号線から南に3㎞ほど入った二岐温泉を起点に、コースタイムは約5時間。女岳と男岳の、ふたつのピークを巡ります。林道から始まる紅葉トンネルは黄金に輝くブナ平へと続き、男岳山頂では猪苗代湖や磐梯山が間近に迫る大パノラマ。カラフルな点画を見るような紅葉の山々のスカイラインが360度の景色すべてに広がっています。
マイカー(レンタカー):郡山駅から約1時間30分(約55㎞)※小白森登山口まで
バス:東北本線須賀川駅から福島交通バスを利用し二岐温泉下車
タクシー:会津鉄道湯野上温泉から約30分
二岐温泉にあるぶな山荘の前から伸びる細い二岐山林道をスタートし、約30分歩くと鳥居があらわれます。その先から登山道の始まりです。
道は鮮やかな紅葉トンネルの中を一直線に山頂へと伸び、途中の地獄坂の看板を過ぎた辺りからロープに助けられつつ、落ち葉の絨毯の上を一歩一歩登っていきます。標高が上がるに従って涼しい風が木々の間を吹き抜け、展望が開けてきます。やがて傾斜も緩くなり道も平らになるころ、樹々の間から女岳の山頂を見ることができます。
木立の隙間から晩秋の紅葉がみえた
(左上)女岳山頂 (右上)笹平の道標
展望のない女岳山頂を後にし、15分ほど南へ一旦下ってから登りかえすと男岳山頂にたどり着きます。途中の鞍部にある笹平で、この山に伝わる巨人「ダイタンボウ」の伝説に想いを馳せながら、ふたつのピークを見上げて一息。もう一方のピークへと向かいます。
男岳山頂に立つと、猪苗代湖、磐梯山、会津の山々の景色が広がり、遠くには雪をまとう飯豊連峰まで望むことができます。福島県内のどこからでも二岐山が見えるというのも納得できる最高の絶景スポットです。
男岳山頂を後にし、さらに南へと急坂の下りに入ります。30分程下り、傾斜がなだらかになってくるとブナ平の入口に到着。後ろを振り返ると、明るい森からは男岳山頂が眺められます。足下のぬかるみに注意しながらブナ平の看板がある黄金の森へと入ります。
70年代にあったという大規模な伐採を免れたブナの樹々が力強く起立する森は、温かな陽光に包まれていて、そのエネルギーに圧倒されます。ここからしばらくはアスナロの大木の森を巡り、林道脇の御鍋神社へと下って二岐山の登山を終えます。
小白森登山口 - [50分] - 風力発電(女岳)登山口 - [1時間40分]- 女岳 - [15分] - 男岳 - [1時間20分] - 御鍋神社登山口 - [50分] - 小白森登山口
二岐山の登山コース紹介や観光についての情報はこちらにも掲載しております
中通りエリア
麓集落には民家がなく、数軒の温泉宿があるだけです。登山後の楽しみのひとつとなる温泉は、天然の川床をそのまま活かした自噴泉岩風呂が味わえる大丸あすなろ荘へ。
湯船の足下にあるポットホールからポコポコとお湯が湧き出ており、秘湯の趣があふれる浴室内で自噴するお湯の音だけを聴きながらの入浴は神秘的。二岐川沿いの露天風呂で楽しむ紅葉狩り温泉もぜひとも入りたいところ。
二岐温泉 大丸あすなろ荘 ふたまたおんせん だいまるあるなろそう
国道118号から白河羽鳥レイクラインを約20km移動して道の駅羽鳥湖高原を目指します。こちらで天栄村特産のヤーコンを使った定食を頂きます。ヤーコンとは南米アンデス高原原産のイモのこと。ほのかな苦みがアクセントで、シャキシャキの歯ごたえが特長です。きんぴらやサラダで食べると美味しく、フラクトオリゴ糖を多く含んでいるので、健康にも良いのだそうです。
道の駅羽鳥湖高原 みちのえきはとりここうげん
二岐山の旅の締めくくりは、田村市へ足を延ばすこと約80km、あぶくま洞と入水鍾乳洞のふたつの鍾乳洞探索へ行きます。鍾乳石や石筍の世界が圧倒的なスケールで広がるあぶくま洞と、真っ暗な洞内を冷たい水に浸り続けながらほふく前進を交えて奥へと進む入水鍾乳洞は、対照的なアドベンチャー感が楽しめます。8,000万年という歳月をかけて造られた自然の美しい造形を目の前に、感動とそのスケールゆえの恐怖の両方を感じることができます。
あぶくま洞 あぶくまどう
入水鍾乳洞 いりみずしょうにゅうどう
山頂からの大展望を独り占めした登山と、秘境温泉を半日で楽しめてしまうお手軽さ。これこそ二岐山登山の魅力ではないでしょうか。登山後の時間を使って、地元グルメや観光名所まで楽しめるのは嬉しい限りです。今回は田村市にある個性の異なる2つの鍾乳洞を巡り、まるで自然の美術館に行ったような気分になれました。午前中は空へ向かって山を登り、午後には地中へと、まさに福島の大地そのものを感じられる充実の山旅でした。
「パスポートのいらない英国」をコンセプトにした非日常スポットです。建築資材を英国から取り寄せ、建築様式からインテリアまで、すべて本物にこだわり、中世の英国を忠実に再現した街並みがつづく。宿泊施設、レストラン、パブなどがあります。
岩瀬郡天栄村田良尾芝草1-8
0120-131-386(受付:9:30~18:00)
ブリティッシュヒルズWEBサイト
白河市と会津若松市の中間に位置するダム湖です。秋には湖畔をぐるりと色とりどりの紅葉が覆い、サイクリングや散策する人々で賑わいます。湖の近くにある、地元天栄村特産のヤーコングルメを堪能できる道の駅が人気です。
岩瀬郡天栄村大字羽鳥字水上
天栄村WEBサイト