マスク生活が長く続き、いざマスクを外すとなったとき、肌荒れが気になった方も多いのではないでしょうか。そんな時、肌をやさしく癒す方法として温泉がぴったりです。
温泉でリラックスすることでストレスを解消しながら、温泉に含まれる成分による保湿効果や、指先の毛細血管まで全身の血流が良くなることで代謝を促進し、健康な肌へ導く効果が期待できます。
福島県は全59市町村のうち53の市町村に温泉地があり、温泉地数は127カ所と、北海道、長野県、新潟県に次いで日本で4番目に多い県です(環境省「令和4年度温泉利用状況」より)。温泉地ごとに特徴や泉質も様々です。
福島県の温泉の力を借りて、肌をやさしく労わりましょう。
スキンケアのために入りたい美肌の湯4大泉質
温泉は泉質を問わず、冷え性やストレスなどの改善、疲労回復が期待できますが、特に、その泉質の特徴によって美肌の湯と呼ばれる4大泉質は「炭酸水素塩泉」「硫黄泉」「カルシウム硫酸塩泉」「アルカリ性単純温泉」です。
福島県の「炭酸水素塩泉」と特徴
炭酸水素塩泉には「カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉」と「ナトリウム-炭酸水素塩泉」の2種類があり、特に「ナトリウム-炭酸水素塩泉」は古い角質を柔らかく乳化させ、石鹸のように皮脂や毛穴の汚れを落とす効果があることから、ツルツルの美白肌になる美肌の湯と言われています。一方で、不要な角質をとる働きにより入浴後は肌の水分が発散し、乾燥しやすいため、スキンケアのためには入浴後すぐ、肌が乾く前に保湿クリームを塗ることがとても大切です。塩分が肌の表面に膜をつくって水分の蒸発を防ぐ「塩化物泉」混合の炭酸水素塩泉の場合は、乾燥の心配はありません。
また、温泉主成分の炭酸水素イオンは、傷口の消毒や殺菌を促すため、切り傷や火傷にも効果が期待できます。
炭酸水素塩泉が楽しめる温泉地「玉梨八町温泉」(金山町)
金山町の玉梨八町温泉は、保温の塩化物泉と保湿の硫酸塩泉混合の炭酸水素塩泉です。サイダー温泉と言われる天然の炭酸が特徴で、温泉の温度により量が変化しますが、入浴するとシュワシュワと泡が体を包みます。温泉に含まれる鉄分の酸化現象で、色は濁った茶褐色をしており、湯船には温泉に含まれる油分が浮いて、保温効果を高めます。塩化物泉混合のため、入浴後も保湿効果が続きます。
町内には妖精がテーマの「妖精美術館」や、天然炭酸水が湧き出るスポットなど、珍しい観光スポットがあります。
泉質 ナトリウム-炭酸水素塩泉・塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)
詳細 https://www.town.kaneyama.fukushima.jp/site/kanko/
福島県の「硫黄泉」と特徴
硫黄泉は硫黄型と硫化水素型の2種類があり、硫黄型は乳白色やエメラルドグリーン、硫化水素型は湯の花で湯船が白く濁っていることが多く、もっとも温泉らしさを感じる「ゆで卵のようなにおい」が特徴です。特に硫化水素型の硫黄泉はこの香りが強く、香りが温泉の効能を実感させ、入浴するだけでリラックス効果が期待できます。
硫黄泉は殺菌効果が高いため、湿疹やあせも、ニキビ、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルや切り傷にも効能が期待でき、メラニンの分解を促すことから、「シミ予防の湯」ともいわれています。また、血行を促して老廃物の排出をスムーズにするためデトックス効果が期待できます。
肌への刺激が強い泉質のため、肌が弱い方やピリつきを感じたときはシャワーで身体を洗い流してから上がることをおすすめします。また、金属を黒く変色させる作用があるため、アクセサリーやメガネなどの金属製のものは外してから入浴しましょう。
硫黄泉が楽しめる温泉地「高湯温泉」(福島市)
福島市の高湯温泉は、pH2.7の硫化水素型の酸性硫黄泉です。全国で9番目に「源泉かけ流し宣言」を行った温泉地で、すべての温泉施設で湯の花たっぷりのにごり湯を源泉かけ流しで堪能することができます。
新幹線の停まる福島駅から車で30分、山道を登ってたどり着く自然豊かな温泉地で、紅葉の名所である観光道路「磐梯吾妻スカイライン」の出入り口にもなっており、観光も温泉も楽しむことができます。
泉質 酸性・含硫黄(硫化水素型)アルミニウム・カルシウム硫酸塩温泉(硫黄泉)
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=5692
硫黄泉が楽しめる温泉地「中ノ沢・沼尻温泉」(猪苗代町)
猪苗代町の中ノ沢・沼尻温泉は、pH1.7~2.1と強酸性の硫化水素型硫黄泉です。単一の源泉として日本一の湧出量である毎分13,400リットルの温泉が湧出し、その湯量の多さは、全ての宿がかけ流しで利用しても使い切れず、川へ流すほど。
安達太良山の噴火口や谷間から湧く源泉「沼尻元湯」を温泉地まで約6km引き湯することで、効能豊かでありながら、香りも湯あたりも優しくなっています。
泉質 酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)
詳細
中ノ沢温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4479
沼尻温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4436
「エクストリーム温泉」体験もおすすめ
沼尻元湯を目指すトレッキングツアー「エクストリーム温泉」では、安達太良山を登山し、滝や湯畑を眺めて、野趣あふれる元湯の野天風呂に入ることができます。
詳細 https://www.numajiri-lodge.com/nowhere/418/
硫黄泉が楽しめる温泉地「土湯峠温泉郷」(福島市)
福島市の土湯峠温泉郷(野地・新野地・幕川・鷲倉・赤湯温泉)は、標高1,000~1,300mの高原に位置し、市街地の夜景と星空の絶景が贅沢な源泉かけ流しの秘湯です。pH6.5前後の中性の硫黄温泉です。幕川・鷲倉・赤湯温泉は硫黄泉のほかにもうひとつ源泉があり、それぞれ単純温泉、酸性緑礬泉を同じお宿で楽しむことができます。
※幕川・鷲倉・赤湯温泉は冬季休業期間があります。(11月下旬~4月中旬)
泉質
野地・新野地温泉:単純硫黄泉(硫化水素型)
幕川温泉:単純温泉、単純硫黄温泉(硫化水素型)
鷲倉温泉:酸性-含鉄(Ⅱ、Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩泉(酸性緑礬泉)、単純硫黄温泉(硫化水素型)
赤湯温泉:単純温泉、単純硫黄温泉(硫化水素型)
詳細
野地温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4541
新野地温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4445
幕川温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4537
鷲倉温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4545
赤湯温泉:https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4458
硫黄泉が楽しめる温泉地「いわき湯本温泉」(いわき市)
映画「フラガール」の舞台であるいわき市のいわき湯本温泉は、pH7.86の弱アルカリ性硫黄温泉です。1,200年以上の歴史があり、有馬温泉、道後温泉と共に日本三古泉として知られています。無色透明でやさしい香りが特徴です。フラガールショーを見ることができるスパリゾートハワイアンズや、環境水族館アクアマリンふくしまなどがあり、観光と温泉の両方を楽しむことができます。
泉質 含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4352
福島県の「硫酸塩泉」と特徴
硫酸塩泉は無色透明のやさしい肌触りの温泉です。主成分の硫酸イオンの殺菌・抗炎症作用で、切り傷などに効果があるほか、角質層を柔らかくして乾燥した皮膚に水分を与えてシワを防ぎ、コラーゲンの生成を促す効果があり、肌のハリと潤いを戻すアンチエイジングが期待できます。また、温泉成分が肌をコーティングする保湿効果があり、入浴後も肌の潤いが続く化粧水のような温泉です。
硫酸塩泉が楽しめる温泉地「東山温泉」(会津若松市)
会津若松市の奥座敷・東山温泉は約1300年の歴史があります。会津若松市のシンボル・鶴ヶ城から車で約10分の好立地にありながら、川が流れる豊かな自然に囲まれた温泉地です。江戸時代には会津藩の湯治場として栄えた歴史ある風情は、映画のロケ地にもなる優雅さです。また、東山温泉では江戸時代より芸妓文化が続いており、お座敷へ芸妓さんを呼ぶことができます(宿泊施設へ要予約)。
泉質 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4492
硫酸塩泉が楽しめる温泉地「芦ノ牧温泉」(会津若松市)
千数百年前に行基上人により発見されたとされ、行き着くのが困難だったため「幻の温泉郷」と伝えられ、戦後、国道沿いに開発されて今の姿になりました。足湯めぐりや森林浴なども楽しむこともできます。芦ノ牧温泉駅ではねこが働いており、「アテンダントさくら」と「ぴーち施設長」が電車のお見送りをしています(ねこは撮影禁止)。
泉質 ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4376
硫酸塩泉が楽しめる温泉地「二岐温泉」(天栄村)
二岐山の渓谷沿いにあり、標高800mのブナの原生林に囲まれた静寂の中にある、開湯約1,200年の秘湯です。温泉は川沿いの岩間などから自噴しており、野趣あふれる露天風呂が多いのが特徴です。
泉質 カルシウム-硫酸塩泉
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4376
福島県の「アルカリ性単純温泉」と特徴
単純温泉の中でもpH 8.5以上の温泉が「アルカリ性単純温泉」と呼ばれ、石鹸のように不要な角質、皮脂、老廃物を落として肌をツルツルにする効果があります。温泉は無色透明で肌への刺激が少なく、アルカリ性が強いほど温泉がトロミのある肌ざわりであるのが特徴です。炭酸水素塩泉と同様に、入浴後は肌の水分が蒸発しやすく乾燥しやすいため、スキンケアのためには入浴後すぐ、肌が乾く前に保湿クリームを塗ることがとても大切です。
アルカリ性単純温泉が楽しめる温泉地「土湯温泉」(福島市)
ラーメン屋さんやカフェ、足湯などがあり、巨大土湯こけしが訪問者を出迎えてくれる街歩きが楽しい温泉街。宿によって個別の源泉があることで、アルカリ性単純温泉だけでなく炭酸水素塩泉や硫黄泉などの多様な美肌の湯を楽しむことができます。土湯こけしの絵付け体験や温泉地熱発電の冷却水を活用して養殖したオニテナガエビの釣り体験など、体験施設もあります。
泉質 アルカリ性単純温泉ほか
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4489
アルカリ性単純温泉が楽しめる温泉地「磐梯熱海温泉」(郡山市)
さかのぼること南北朝時代、病にかかった「萩姫」が不動明王の「東北の方へ、数えて五百本目の川岸に霊泉がある。そこにつかれば病が治る」というお告げにより、困難の末、五百本目の湯に入ったところたちまち病が治り、元の美しい萩姫になったと伝えられています。この伝説から磐梯熱海温泉は「美人の湯」として有名になり、温泉街を流れる川は「五百川」と呼ばれています。磐梯熱海温泉は一般的な石鹸と同じpH9.1のアルカリ性単純温泉で、無色透明のとろとろのお湯が特徴です。
泉質 アルカリ性単純泉
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4526
アルカリ性単純温泉が楽しめる温泉地「尾瀬檜枝岐温泉」(檜枝岐村)
尾瀬国立公園の北の玄関口である檜枝岐村は、村内のすべての旅館と民宿で無色無臭のアルカリ性単純温泉に入浴することができます。豊富な湯量は、一般家庭全戸に供給されているほどです。また、村の公衆浴場「燧の湯(ひうちのゆ)」では源泉かけ流しの単純硫黄泉を楽しむことができます。
泉質 アルカリ性単純泉
詳細 https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=4546
泉質ごとの適応症を知って、温泉の楽しみ方を正しく知ることで、温泉の恵みを目いっぱい受け取りましょう。
乾燥の時期は、福島県の温泉で美肌になろう!