> ニュース&トピックス > 2020.05.21(木) 12:00 猪苗代町の土津(はにつ)神社が、新型コロナウイルスの終息を願い、赤べこの護符画像を作成しました。
磐梯山の麓にある土津神社は、新型コロナウイルスに対する人々の不安を和らげ、さらに感染予防の意識付けのきっかけになればという禰宜の宮沢さんの思いから、無料でダウンロードできる護符画像を配信しました。お守りとして携帯電話の待ち受け画像などに使用することができます。
令和2年5月14日に緊急事態宣言が福島県を含む39県で解除となりましたが、まだ平穏な日常には遠く、日本中で忍耐の日々が続いております。この護符画像を見て少しでも癒される方が増えるといいなと思っております。
◎赤べこの護符画像(土津神社Facebook)
https://posts.gle/MoTwT
さて、テレビ番組等で取り上げられるなど、最近知名度が上がってきた「赤べこ」ですが、その由来はご存知でしょうか。
この機会に「赤べこ」と、東北の日光と称された「土津神社」の由来や歴史をご紹介させていただきます。
~赤べこの由来と言い伝え~
―赤べこ伝説―
1611年9月、会津地域を襲った直下型地震の「慶長会津地震」が発生し、その大地震で柳津町にある「福満虚空蔵尊圓蔵寺」は倒壊する大きな被害を受けました。再建場所が高台であるため、資材搬入に苦労し工事が進まない中、大きな赤毛の牛が現れ、資材の大木運びを手伝ったという「赤べこ伝説」が残っています。これにより、赤べこは忍耐と力強さの象徴、さらには福を呼ぶ縁起物として親しまれ、柳津町は「赤べこ発祥の地」として今日に言い伝えられています。またこの頃に、鶴ヶ城の殿様であった蒲生氏郷(がもううじさと)が、会津の文化、経済、産業の礎を築く為、近江の国から職人を招いて、張子の技法を下級武士に習得させたのが会津張り子の始まりと言われ、赤べこ伝説にあやかったとされる首が揺れる赤べこが現在に受け継がれています。
◎福満虚空蔵尊圓蔵寺(ふくしまの旅-福島県観光情報サイト-)
https://www.tif.ne.jp/jp/spot/spot_disp.php?id=2224
―赤べこと天然痘―
また、長年にわたり人々を苦しめた天然痘と赤べこにも深い関係があります。天然痘はワクチンが開発され1980年に根絶されるまで、感染率・致死率が高く、特に子どもを中心にたくさんの犠牲者を出したウイルスでした。天然痘にかかると顔や腕、脚に発疹ができ、身体が赤くなることから、人々は天然痘が赤いものを好むと考え、子どもへ身代り人形として赤い身体を持った赤べこを贈ったそうです。そして、赤べこを持っていた子どもたちは不思議と症状が軽く済んだ、あるいは天然痘にかからなかったと言い伝えられており、赤べこは今でも無病息災の縁起物として親しまれています。
~土津神社の由来と取り組み~
―土津神社とは―
猪苗代町にある土津神社は、江戸時代の名君と名高い会津藩初代藩主「保科正之」公を祀った由緒ある神社です。1675(延宝3)年の創建当時は日光東照宮と並び称されるような、それは格式高い姿であったそうですが、戊辰戦争時に消失し、現在は1880年に再建された社殿が猪苗代の人々を見守っています。
日光東照宮ほど素晴らしいお社とはどんなものかと気になるところですが、その答えは福島県立博物館(会津若松市)にありました。博物館所蔵の「大須賀 清光(おおすが せいこう)」という幕末の若松城下で活躍した町絵師によって描かれた「土津神社図・円蔵寺図屏風」は、ドローンで上空から撮影したような構図で、左隻に創建当時の土津神社、右隻に参詣客でにぎわう福満虚空蔵尊圓蔵寺の様子が描かれた貴重な屏風です。
当時の姿を想像しながら土津神社をお参りするのも楽しみ方のひとつではないでしょうか。
◎大須賀清光の土津神社図・円蔵寺図屏風(土津神社Facebook)
https://posts.gle/N2bme
―土津神社と保科正之公―
土津神社に祀られている保科正之公は、初代将軍・徳川家康の孫で、第3代将軍・徳川家光の異母弟です。1611(慶長16)年に第2代将軍・徳川秀忠と乳母の侍女だったお静の間に生を受けた後、1617年に高遠(現在の長野県伊那市)藩主・保科正光の養子となり、後継者として育てられ、1631(寛永8)年に後を継ぎました。弟の存在を知った徳川家光と対面後は、その有能な政治手腕を認められて出世の道をひた走り、山形藩主を担った後、1643(寛永20)年に会津23万石の藩主となりました。4代将軍・徳川家綱の後見役に抜擢されたため、保科正之公が会津の地に滞在したのはわずか数年のことではありましたが、高遠時代からの重臣が代理で藩政を担い、有名な「会津家訓15カ条」の制定や「社倉制度」、「稽古堂」の設立など、江戸の改革と並行して様々な政策を打ち続け、その後の会津藩繁栄の基礎を築き上げました。
晩年に神道を極めた保科正之公は「土津」の霊号を授けられ、自ら眠る地として定めた磐梯山の麓に埋葬され、土津神社が造営されました。
―土津神社とSDGs―
土津神社では「人生と家庭、心に彩りと潤いを。」という理念を掲げ、それを踏まえてSDGs17のゴールのうち、以下の4つのゴールを目標にした取り組みを行っています。
[3]あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
[4]すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
[11]都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
[15]陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
新型コロナウイルスの影響による経済活動の停止で、地球環境の破壊は一時的に歯止めがかかりました。イタリアの水路は透き通り、車の走らない都市は澄んだ空気に包まれ、街には野生動物が現れました。インドでは30年ぶりにヒマラヤ山脈が見えたことがニュースになりました。国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年の二酸化炭素排出量は世界全体で前年比8%減少するとの推計を発表しています。「自然からの警鐘だ」と言う自然保護団体もいます。
これまでも人類はウイルスと戦っては「より良い世の中」へアップデートをしてきましたが、コロナ後の「より良い世の中」とはどんなものであるのか、サステナブルな世界へと変わるチャンスが訪れたのではないでしょうか。
土津神社は猪苗代の美しい自然の中にあり、境内も春は桜、秋は紅葉と四季を感じるフォトスポットです。福島県の美しい自然や、持続できなかった原発、増える再生可能エネルギー発電所など、環境問題を考えるきっかけが福島県にはたくさん散らばっています。
家康公の孫でありながら偉ぶらず、周囲への感謝を忘れず、尊敬は集めても人から嫉妬を受けない「足るを知る」を地で生きた保科正之公の精神は、現代にこそ求められているのではないでしょうか。
◎土津神社公式ホームページ
https://hanitsujinja.business.site/
コロナ終息後には是非、土津神社を訪れてみてはいかがでしょうか。
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