> ニュース&トピックス > 2017.09.27(水) 10:13 茨城県のつくば秀英高等学校1年生が林間学校の一環として楢葉町を視察!語り部から話を聞きました!
[日程]
平成29年8月30日から平成29年9月1日の2泊3日
[学校名・人数]
つくば秀英高等学校・1年生270名
[来県市町村]
楢葉町
[本県を訪れた目的]
同校では、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県の現状を学び、復興への想いを共有したいという職員や生徒たちの要望により第1学年の林間学校の一環として、本県において震災学習を3年連続で実施した。福島県に隣接する茨城県民として、福島県民が大変な思いをして生活している事実を知ることで、これから様々な道へ進んで行く生徒たちに考えてもらうことが大きな目的。
[取材内容]取材日:平成29年8月30日(楢葉町)
取材当日は、「道の駅ならは」を待ち合わせ場所として「ならはふるさと案内人ガイド」がそれぞれのバスに乗り込み町内を巡り説明を行った。
案内人ガイドの高原カネ子さんより避難当時から現在までの状況の説明を受け、改修中のJヴィレッジや、木戸川漁業協同組合のサケのやな場などを廻り、津波到達点の表示がバスの屋根より高い道路標識を通過する際には、生徒たちは「これでは逃げられない!」と驚きの声をあげていた。
高台に位置する天神岬公園では135戸が流されて13名が亡くなった津波の被害について説明を受けた。
「楢葉町コミュニティセンター」では、ガイドの高原カネ子さんより震災講話が行われた。高原さんは自らを被災者ではなく体験者と呼び、避難先で孫が学校でいじめ受けたことで、それを支えてくれた保健師の先生を見て孫が保健師になる夢を持って登校していることなどを紹介した。又、自分の趣味を活かして作った人形等を被災した宮城県大川小学校の四十九日に合わせて贈った時に「ありがとう」を言われたことに触れ、自分が今まで支援を受ける身であったが、反対に御礼を言われたことで元気がでたことなどを話されていた。支援されることに甘えていいのか、それに値するのかなど葛藤しながらも一人では生きていけない事や、又一人の時間を楽しめるように自立しなければ生き生きとした人生を歩むことはできないと気づいたことや、避難先からふるさと楢葉町に戻る道すがら心が高揚している事に気づき、ここが私の生きて死ぬ場所だと感じた心情を打ち明けてくれた。
[学生のコメント①]
「震災は小学3年生の時に体験した。自宅は壁にひびが入るくらいで、被災地のこともテレビでしか見たことがなかった。今回初めて被災地を訪問し、住宅地だったところが津波の被害で建物が無くなり、野原になっているのを見て、震災の被害の大きさを初めて実感した。野原の中に建っている公民館は、津波の被害のひどさを学ぶことが出来るため取り壊さず残すべきだと思った。訪問前のイメージは、震災の傷痕もなく、人々がみんな戻って普通に暮らしているのだろうと思っていた。予想よりも戻っている人が少なく、戻れない地域があることを知り、震災から何年も経っているのに復興があまり進んでいないのだなと思った。語り部さんの話を聞いて、原発事故の被災地から避難してきたというだけで、いじめが起こり嫌われてしまったということに驚き、放射線の風評被害が大きいことを改めて感じた。これまでボランティア活動に参加してこなかったが、これからは積極的にボランティア活動に参加したいと思った。福島県で学んだことを両親や兄弟に伝えたい。」
(1年生 飯塚 大智 さん)
[学生のコメント②]
「福島県に訪れるのは初めてで、事前に見たパンフレットや毎年3月11日の特別番組を見たイメージが全てだ
った。震災の津波で汚れていたり、がれきがあったり、まだ除染土を覆ったブルーシートがいろんな所にあるのかなと暗いイメージを持っていた。実際に来てみると、がれきは掃除され、作業員用のアパートがたくさん増え、予想よりも綺麗になっており、復興に向かっていると感じた。語り部さんの話を聞いて、自分の好きなこと、楽しめることを大勢で一緒に楽しむ趣味の会を開いていろんな人と交流をしている事を聞き、震災があって、とてもショックが大きかったと思うが、それを乗り越えてポジティブな考え方をして、自分が今いる場所で楽しめるように活動したことがすごいと思った。もし自分が大きな災害に遭ってショックを受けても高原さんと同じようにポジティブに考えたり、沢山の人に伝えたり、近くに住んでいる人と楽しんだり、ボランティアに参加したり出来るような人になりたいと思った。次は家族と一緒に福島県を観光したいと思った。」
(1年生 片野 里紗 さん)
[先生のコメント]
「高校生が大勢で訪問することが迷惑になるのではないかと心配になり、個人的にゴールデンウイークに楢葉町を訪問した。役場の方とお話をする機会を頂き、ぜひ来てくださいとの言葉を頂いたので、安心して林間学校での楢葉町訪問を決定した。保護者会では震災学習で楢葉町へ訪問する旨を、放射線量の情報と共に説明した。保護者からの反対や不安の声は一件もなく、震災について学ぶいい機会だと同意を得た。
事前学習では、楢葉町のホームページや前年度参加した教員からの情報をしおりに組み入れた。さらに、茨城県で出している『原子力とエネルギーブック』を使い、理科の授業で放射線がどういうものかを学んだ。教育が難しく、教員の主観で原子力に反対だと言ってもいけない、放射線が危険だと不安をあおってもいけないため、客観的な資料を使用して、レントゲンなどでも使われているが、どう思うかなど生徒たちに考えさせた。
茨城県では福島県のニュースがとても少なく、ほとんど福島県の話題が取り上げられない。生徒たちもまだまだ復興途中だと知り、驚いている様子だった。いつもは賑やかなクラスだがみんなシンとしており、教員が驚くほど静かだった。天神岬から楢葉町を見下ろしながらガイドさんの説明を聞いて、生徒たちも色々と考えている様子だった。この震災学習について全員にレポートを書いて提出してもらい、最終的に語り部さんに送るようにする。生徒たちのありのままの感想を是非読んでほしい。」
(学年主任 都井 建一 先生)
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