> ニュース&トピックス > 2024.10.28(月) 08:30 京都府立山城高等学校が福島県で研修旅行を実施しました
[日程]令和6年10月1日~4日(福島県内3泊)
※10月3日に実施した「さすけなぶる」の様子を取材させていただきました。
[学校名・学年・人数] 京都府立山城高等学校 普通科2年 60名
[取材内容]
京都府立山城高等学校の2年生60名が3泊4日の研修旅行で本県を訪れました。初日と2日目は天栄村のブリティッシュヒルズの研修と会津若松観光を行い、3日目は宿泊先の泉崎カントリーヴィレッジで避難所運営シミュレーション「さすけなぶる」を実施しました。
「さすけなぶる」は東日本大震災当時に県内最大の避難所だった「ビッグパレットふくしま」での事例をもとに、よりよい解決方法を見出す考え方を学ぶ避難所運営シミュレーション教材で、避難所運営者として避難所で起きるさまざまな問題を考え、意思決定を行います。
はじめに、進行を務めた「さすけなぶる認定ファシリテーター」の三輪寿雄さんから東日本大震災と原発事故による避難指示で、多くの方が自宅を離れて避難を余儀なくされ、その後の避難生活の過酷さから大勢の方が災害関連死で亡くなったことを聞き、避難所の生活環境の改善が被災者の人命を救うことに繋がることを学びました。
ワークショップのシミュレーションでは、介護が必要な高齢者が避難所に来た場合にどのように対応すればよいかを班ごとに分かれて考えました。実際の避難所では対応を考える時間が少ないことを体感してもらうため、回答までの時間は3分間。生徒の皆さんは短い時間で自分の考えを伝え合い回答をまとめました。各班の発表者からは「場所を代わってもらえそうな方に声をかけるべき」「避難所にはルールがあるので特別な扱いはできないのでは」などさまざまな意見が出されました。回答を聞いた三輪さんからは「避難所の対応には絶対的な正解はありません。だから、よりよい考え方、“成解”を目指す」とした上で、避難所では皆に平等に支援を行うよりも、必要な人に必要なモノ・サービスを届ける“公正な支援”がより大事であることを説明し、想像力を働かせて他者が何を必要としているのかを考えて行動して欲しいと呼びかけました。
[生徒のコメント①]
「今回の研修旅行で初めて福島県へ来ました。原子力災害については原発周辺の町村で人が住めなくなったことは知っていたのですが、さすけなぶるを体験して初めて東日本大震災当時に避難指示を受けた方が放射性物質の汚染から逃げるように避難所を転々としていたことを知りました。被災した方は準備もできずに着の身着のままで避難して不安だったと思います。今回聞いた話やシミュレーションを体験したことで、被災者の不安を払拭するために何ができるかを考えるきっかけになりました。研修から帰ったら家族にも学んだことを話したいと思いました。」
(辻 陽介さん)
[生徒のコメント②]
「福島県は原発事故があった場所だということは知っていたのですが、避難所でどのようなことが起きていたのかは全く知りませんでした。私自身も震災が起きたら冷静な判断はできないと思うので、そのときの自分の考えだけで何かを決めるのではなく、小さい声にも耳を傾けることを忘れないように心がけたいと思いました。さすけなぶるで学んだことを活かして、もし実際に災害が起きたときには自分が支えてもらう側ではなく、支える立場になれるように考えていきたいです。」
(長野 葵さん)
[生徒のコメント③]
「今日、さすけなぶるを体験するまでは、被災者はかわいそうな人と勝手に思っていて、避難所は支援を一方的に与えるものだと考えていました。でも、避難所を出たら自立して生活を再建しなければならない。避難所は一方的に助ける存在ではなく、ともに支え合うためのものなのだと知りました。昨日までブリティッシュヒルズで研修をしていたのですが、講義形式の授業だけじゃなく、スポーツやお菓子作りなども体験できて楽しかったです。他のコースを選択した友達もいるので、たくさんお土産話ができたらと思います。」
(岡本 愛真さん)
[先生のコメント]
「福島県での研修旅行は3年前から実施しており、震災学習とブリティッシュヒルズでの英語学習は大きなテーマで毎回取り入れるようにしています。私自身は生徒がさすけなぶるを体験している様子を今回初めて見たのですが、生徒の発表を聞いて、他人事としてではなく被災者や避難所運営者の立場となってシミュレーションすることで、災害や生活再建についてこれまで以上に具体的に考えられるようになったように感じました。また、授業の中でも英語学習の単位数が多いので、ブリティッシュヒルズでの研修は実践的な英語を使う場としてとても効果的だと感じています。生徒たちも言語学習だけではなく、スポーツやお菓子作りなどイギリスの文化を実際に体験することで有意義な2日間を過ごしていた様子でした。」
(第2学年担任教諭 田中 敏夫先生)
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