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2025.09.30(火) 16:02 取材記事(教育旅行)福岡県の精華女子高等学校が福島県で修学旅行(ホープツーリズム)を実施しました

はま福 福島さんとの対話

楢葉町復興拠点でのフィールドワーク

ならはみらい森さんとの対話

振り返りのワークショップ

[日程]令和7年9月2日
[学校名・学年・人数]精華女子高等学校 245名
※9月2日に実施したコース別学習のうち「地域づくり、福祉コース」と、フィールドパートナーによる振り返りのワークショップを取材させていただきました。

[取材内容]
 精華女子高等学校は修学旅行でホープツーリズムを実施し、5つのテーマ(防災、農林水産業、保育、地域づくり、起業)の中から、生徒が関心のある分野を選び、現地での体験を通して理解を深めました。
 「地域づくり、福祉コース」に参加した生徒たちは、まず楢葉町のならはCANvasを訪れ、株式会社はま福の福島芳子代表取締役と対話を行いました。福島さんは震災直後、医療支援チームの看護師として被災地に入った経験をきっかけに、現在は富岡町で訪問介護・看護事業所を運営しています。話の中では、被災直後の医療現場の混乱や医療従事者から見た原発事故の教訓、そして年月とともに変化してきた医療・介護の課題について語られました。生徒たちはその言葉に真剣に耳を傾け、熱心にメモを取りながら、福祉の現場が抱える現実を自分ごととして受け止めようとする姿勢を見せていました。

 続いて行われたフィールドワークでは、一般社団法人ならはみらいの森雄一朗さんの案内で、楢葉町の復興拠点「笑ふるタウンならは」を歩きながら見学しました。復興の象徴ともいえる町並みを目の当たりにした生徒たちは、景色を一つ一つ確かめるように観察し、被災地の今を肌で感じ取っていました。その後の対話では、森さんから楢葉町の現状や震災当時の様子、移住に至った経緯、法人の活動について直接お話を聞きました。生徒たちは、ならはCANvas完成までの経緯や耐震構造などについて質問を投げかけるなどして、楢葉町の課題と可能性を考える時間を持ちました。

 午後は富岡町文化交流センター学びの森にて、「保育コース」「防災、農林水産業コース」の生徒と合流し、フィールドパートナーの進行で振り返りのワークショップを実施しました。グループに分かれ、ホープツーリズムを通じて得た気づきや疑問を書き出し、それをもとに意見を共有。和やかな雰囲気の中にも真剣さがあり、福島の現状を自分の学びの分野と重ね合わせる姿勢が印象的でした。最後には、自分がこれからも考え続けたいこと、行動に移していきたいことを発表し合い、学びを未来につなげる意思を確認しました。代表生徒は「福島で起きたことを他人ごとではなく自分ごととして捉え、後世へつないでいきたい」と振り返りの言葉を述べました。

[生徒のコメント①]
 「楢葉町のフィールドワークでは、商店街や医療施設の配置、高齢者の生活を支える工夫を知り、人々の声を大切にしたまちづくりに感銘を受けました。一方で、人通りの少なさから震災の影響が今も続いていることを実感しました。福島さんのお話では、原発の影響で医療が届かず命を落としてしまった方もいたということを知り、自分も看護を学ぶ者として考えさせられました。振り返り学習では多様な課題に触れ、仲間と意見をまとめる中で福島県に対する理解を深めることができました。」
(看護科 2年 石井 美由紀さん)

[生徒のコメント②]
 「福島さんが看護師として震災当時に活動されていた経験を伺ったことが、とても印象に残りました。写真や映像を交えて語られる現場の様子はリアルで、自分が目指す道の厳しさや責任の重さを改めて実感しました。救急や災害派遣の看護師になりたいと考えているので、福島さんの話は強い刺激となり、もっと勉強を頑張らなければという気持ちが一層強まりました。今回の学びを通して、将来看護師として人の力になれるように努力を重ねていきたいです。」
(看護科 2年 久保田 美月さん)

[生徒のコメント③]
 「振り返りのワークショップでは、自分と異なる視点の意見を共有でき、とても有意義な時間になりました。私は災害が起きてからの避難先について考えていましたが、他のメンバーは「避難までの過程」や「日頃からの備え」を重視しており、防災をより広く意識するようになりました。福島を訪れて震災の現実を知るとともに、住んでいる方々が前向きに復興へ歩む姿に胸を打たれました。放射性物質と食物についてもお話を聞く機会があったので、今後の食品衛生の学習にも活かしていきたいです。」
(普通科製菓コース 2年 羽田野 美羽さん)

[生徒のコメント④]
 「福島で現地の方のお話を聞き、少しずつ日常を取り戻してはいるものの、少子高齢化や人口減少の進み方が早まっていることを知りました。振り返りのワークショップでは、仲間と意見を出し合う中で、復興支援は道路などの整備だけでなく、医療環境の整備を最優先にすることが大切だと考えるようになりました。福岡に戻ったら、復興が進む反面、検討すべき課題も多く残っているということを伝えたいと思います。」
(普通科製菓コース 2年 手嶋 美來さん)

[先生のコメント]
 「昨年、修学旅行の下見で福島県を訪れ、東日本大震災・原子力災害伝承館や浪江町立請戸小学校を見学し、東日本大震災当時の様子を肌で感じ、衝撃を受けたことから、きっと生徒たちの心に残る体験学習になるだろうと考え、福島での修学旅行を実施しました。今回の修学旅行では、日程の関係で東日本大震災・原子力災害伝承館、請戸小学校に伺うことができませんでしたが、ホープツーリズムを通じて生徒たちが現地の方々と直接交流し、震災や復興について深く学ぶ機会となりました。特に、震災直後の医療現場での対応を語られた福島さんとの対話では、生徒たちも緊張した表情で耳を傾け、看護を学ぶ生徒として、大きな学びを得た様子が印象的でした。現地の方の話を聞き、まちを歩き、地域の取り組みを自分の目で確かめることで理解がより確かなものとなり、ワークショップでも活発に意見交換をする姿が見られました。この経験を今後の進路選択や、また先の人生に活かしていってくれることを期待しています。」
(教頭 田口 ひろみ先生)

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