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2025.02.27(木) 18:14 取材記事(教育旅行)筑波大学附属駒場中・高等学校、灘中・高等学校、成城学園中学校高等学校の中高生がふくしま学宿を実施

天井一面に広がる絵画(おれたちの伝承館)

模型で原発事故の推移を学ぶ(伝承館)

高台からソーラーパネルを一望(棚塩)

原子力災害についてトークセッション

[日程]令和6年12月25日~27日(福島県内2泊3日)
[学校名・学年・人数]筑波大学附属駒場中・高等学校、灘中・高等学校、成城学園中学校高等学校 中学1年生~高校2年生 計47名
※12月26日の日程を取材させていただきました。 

[取材内容]
 筑波大学附属駒場中・高等学校、灘中・高等学校、成城学園中学校高等学校の3校が、被災地視察と各分野で復興に向け果敢にチャレンジする人々との対話に焦点を当てた学びのツアー「ふくしま学宿」を実施しました。
 「ふくしま学宿」2日目は、南相馬市の「おれたちの伝承館」の見学からスタート。同館は、アート作品から東日本大震災と原発事故の記憶を伝えるミュージアムで、生徒は作品に込められた意図を読み取ろうと展示されている絵画や写真などを真剣な眼差しで鑑賞しました。続けて東日本大震災・原子力災害伝承館、震災遺構の浪江町立請戸小学校、大平山霊園を巡り、震災と原子力災害の教訓や被災者の声に触れるとともに復興の取り組みについて学びました。
 また、終日フィールドパートナーとして同行した、まちづくりなみえの菅野孝明さんから道中で再生可能エネルギーの可能性や課題、現状を聞きました。その後、浪江町棚塩産業団地が一望できる「海光の丘」に立ち寄り、水素エネルギー研究フィールドや集成材製造施設など、先進技術が集結するエリアを見学しました。
 午後は中間貯蔵施設を視察した後、菅野孝明さんがファシリテーターとなり、東京電力ホールディングス株式会社の堀江保和さんと赤堀直子さん、中間貯蔵施設を管理する環境省福島地方環境事務所の石川洋一さん、住民代表で大熊未来塾の木村紀夫さんのトークセッションが行われました。初めに木村さんから自身が震災で家族を亡くした経験を話すとともに、そこから学んで欲しい教訓や事故対応で感じた国や東京電力への複雑な心境を語りました。
 その後、三者での対話に移り、木村さんから「日本では原子力発電の回帰に向かっているが、この風潮を皆さんはどのように考えていますか」と問いかけがあると、東京電力の赤堀さんは「原子力の再稼働の議論はあるが、電力需要を満たすため、日本はロシアのウクライナ侵攻後もロシアから火力発電用のLNGを買い続けているがその資金が何に使われるのかなど、多面的に考えなければいけない問題」とエネルギー自給率の低い日本において原子力発電の果たす役割を説明したほか、石川さんからは「電源を再生可能エネルギーだけでは賄えないのが現状ではあるが、原発を再稼働するにあたって、なぜその選択が最適なのか理由を説明しなければいけない」と国民に情報を共有し、理解を得ることの重要性を説きました。

【生徒のコメント①】
 「震災や原子力災害についてはニュースなどで情報として知っていましたが、今の福島の姿を自分の目で見たいと思い参加しました。トークセッションは立場としては対立している相手との対話だと思うのですが、真摯に話し合いを続けることでお互いが歩み寄れることを学ぶことができ、とても刺激的な経験となりました。棚塩産業団地でソーラーパネルが一面に並ぶ景色が印象的で、実証が進んでいる水素燃料や太陽光発電といった再生可能エネルギーが普及すれば、原子力による発電の割合も減らすことができるのではないかと思えました。」
(筑波大学附属駒場高等学校1年 平井 俊助さん)

【生徒のコメント②】
 「福島県に来たのは今回が初めてです。旅程では相馬市から南下して移動したのですが、原発に近づくほど町並みに人が少なくなっていくのが印象的でした。浪江町では請戸小学校で校舎が津波で破壊された様子を見た後にバスで生徒たちが避難した大平山霊園に向かったのですが、高台までかなりの距離があったにも関わらず児童・先生とも全員無事だったと聞き驚きました。フィールドパートナーから当時のことを聞くと、皆さんが落ち着いた避難行動をとれたからだと聞き、安全を確保することの大切さを学びました。」
(灘高等学校2年 安達 諒太朗さん)

【生徒のコメント③】
 「今年の夏に研修旅行で中通りに行った際は震災があったことを全く感じなかったのですが、今回双葉郡内を回っていると被災した建物がまだ残っていて震災からずっと時が止まっているようでした。おれたちの伝承館や東日本大震災・原子力災害伝承館では、多くの家畜が餓死したことを知り、今まで見ようとしていなかった震災被害の一面を学ぶことができました。対話の中で木村さんもおっしゃっていたのですが、どうすれば復興を果たしたと言えるのかを私も考え続けたいと思います。」
(成城学園中学校3年 小竹 樂和さん)

【先生のコメント】
 「生徒たちは原子力災害のことや被災地の現実などはこれまでも情報としては知っていたと思うのですが、今回実際に被災された方からお話を聞くことで、もし自分が被災したらどうするかを自分事として考え始めているようにみえました。東京電力と環境省、木村さんのトークセッションでは、企業と行政、地元住民といった異なる立場の人たちが問題に正面から向き合い問題解決に動いている様子を肌で感じることができました。すべての人が納得できる解決方法のない問題は世の中にたくさんあると思います。そういった世界で自分達はどのように考え、どうやって気持ちを伝えれば良いかを考えるきっかけになってくれるとうれしいです。」
(成城学園中学・高等学校 松尾 瞭吾先生)

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