INTERVIEW インタビュー

浜通り

haccoba -Craft Sake Brewery- 代表取締役 佐藤 太亮さん

予想ができないものづくりに
酒造り本来の楽しさを感じます。

商品の開発はどのように行っているのですか?

 お酒がおいしいのは大前提ですが、どんなシーンで飲んでもらうかによって体験自体が変わってくると思うんです。まずはどういう原料を使うか、そして異業種の方とコラボすることも多いのでどんな人たちとコラボをするか、アイデアを出し合って「体験設計書」を作るようにしています。味わいやコミュニケーションを通して、最終的にこのお酒でどんな体験をしてもらうか全員の共通言語を持ち、そこからレシピやデザインを考えていきます。お酒を造るだけではなく、お酒を通してひとつの体験を作ることを意識しています。

たとえば、どんな商品がありますか?

 基幹商品として、日本酒の造りの工程で東洋のホップと呼ばれる「唐花草」を加える“花酛”という製法を使った「はなうたホップス」があり、それ以外は「haccoba LAB_」という枠で、さまざまなクリエイターやブランドと一緒に造るお酒があります。「haccoba LAB_」は基本的には一度限りの商品。垣根を越える酒造りをテーマに、お酒にカカオの皮を入れたり、味噌を入れたり、いろいろしていますね(笑)。自分たちが造っていて楽しいのはもちろんですが、お客さんにも「次はなにをやるんだろう」とワクワクしてほしいと思っています。

とても独創的な酒造りですね。

 外から見れば新しいことをしているように見えるかもしれませんが、根本は日本古来の“どぶろく”の文化。昔から東北で行われていたという“花酛”を出発点にしています。昔の人々がそんなおもしろいお酒を造っていたんだったら、現代のビアスタイルを掛け合わせてもいいんじゃないかなと。

佐藤さんが考える発酵の魅力はどんなところでしょう?

 発酵食品を作ることはずっと微生物と向き合う仕事で、基本的に思い通りにいきません。でもそれがおもしろいんですよね。想像ができない、予測できないものづくりは、昔の人々が行っていた酒造り本来の楽しさにも通じる気がするんです。
 この「haccoba」もお客さんと造る楽しさを分かち合えるような場所にしたくて、ブリューパブのスペースも併設しています。これからもこの小高という場所から、いろいろなチャレンジを発信していきたいです。