細菌類
漬物
さまざまな食材を塩、醤油、味噌、酢、麹、米ぬか、酒粕などにつけ込むことによって保存性を高め、味わい豊かに仕上げる発酵食が、漬物です。なかでも野菜の漬物は、塩漬けやぬか漬けなどにより脱水することにより、うま味、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養が凝縮されます。発酵によって生まれる植物性乳酸菌には、腸内環境を改善する機能も加わります。福島県では、「三五八漬け」が有名です。
納豆
大豆を蒸して、わらづとに入れて40℃前後の環境におくと、わらにすみついた天然の納豆菌が瞬く間に繁殖し、納豆が完成します。現在は培養された納豆菌を用いてつくられる納豆が一般的です。ネバネバの粘性物質はうまみ成分グルタミン酸の宝庫です。納豆菌は、ビタミンB1やB2、骨を強くするビタミンK2など、栄養成分の宝庫でもあります。
チーズ・
ヨーグルト
ヨーグルトは、原料となる乳を乳酸菌で発酵させたものです。
チーズは、原料となる乳を乳酸菌で発酵させた後に酵素で凝固させた固形物(カード)を取り出し、発酵・熟成させたものです。いずれも乳酸菌の発酵過程で、乳に含まれる乳糖を分解して乳酸をつくり、さわやかな酸味が生まれます。
また、チーズの熟成・発酵中にはタンパク質が分解し、うま味アミノ酸が増えます。乳の原料は、牛、ヤギ、羊、水牛、馬など世界各地で身近にあるさまざまな種類の乳が使われます。私たちが食べている牛乳を原料とするヨーグルトやチーズには、タンパク質、ビタミンB2、カルシウムなど、牛乳の栄養価がそのまま受け継がれているうえ、発酵の過程で栄養成分が消化吸収されやすいかたちになっているため、より効率的に栄養をとりこむことができます。
監修
発酵学者
東京農業大学名誉教授
小泉 武夫 さん
1943年、 福島県の酒造家に生まれる。 農学博士。専門は食文化論、 発酵学、醸造学。現在、 鹿児島大学、 福島大学 、 宮城県立大学ほかの客員教授、 発酵食品ソムリエ講座 「発酵の学校」校長を務める。 NPO法人発酵文化推進機構理事長や全国発酵のまちづくりネットワーク協議会会長など、食に関わる様々な活動を行う。著書は単著で150冊を超え、日本経済新聞掲載の 「食あれば楽あり」は30年に渡り連載中。日本醸造協会伊藤保平賞、日本醸造学会功績賞、福島県知事賞(県外在住功労者) など多数受賞。