INTERVIEW インタビュー

会津

新田商店 代表取締役 新田 俊さん

受け継がれる職人の経験と、愛され続ける変わらぬ味創業100年に向け新しい商品開発も

「会津高田納豆」の製法は創業以来変わらないのでしょうか。

 そうですね。毎朝、職人が大豆の状態を見極めながら手洗いし、浸漬の時間や炊き上げの圧力を加減します。炊き上げにじっくり十分な時間をかけてふっくらと仕上げることにこだわっていて、その絶妙な加減には職人の経験がものをいいます。機械化が悪いというわけではありませんが、美味しい納豆を作るために職人が一つひとつ丁寧に手間ひまかけることは譲れませんね。
 もちろん原料となる大豆や水にもこだわっています。今使っている大豆は北海道産のもので、契約した農家さんから仕入れています。水も、大豆の味を引き立たせるよう弱アルカリ性の水を使用しています。

納豆菌は蔵に住み着いているものなのですか?

 納豆菌は大豆を容器詰めする前の段階でムラなくかけます。創業以来、日本三大納豆菌種のひとつといわれる宮城野菌を使っていて、大豆の風味を損なわない昔ながらの味を継承しています。納豆菌をかけたら、発酵室に入れて食べごろまで発酵させ、その後冷却して発酵を止めます。
 お酒や味噌、醤油などは蔵付きの菌が活躍しますが、そこは同じ発酵食品でも違うところですね。原料が同じでも菌の種類によって異なる味わいを醸しだす発酵の力は偉大です。発酵させる温度がほんの少しでも高くても低くてもいいものができない。菌が機嫌よく発酵するために些細なことにも気を配って日々作っています。

新しい取り組みにも力を入れているそうですね。

 今取り組んでいるのは納豆そのものの旨みを味わうための新しい商品開発です。ほとんどの方は醤油やタレを混ぜて、白いご飯にかけて召し上がると思いますが、納豆だけで美味しく食べていただけるよう、クミン塩や旨辛七味のパウダーをかけて味わっていただく納豆を商品化しました。納豆好きの方はもちろん、納豆が苦手な方にもぜひ召し上がっていただきたいですね。