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ふくしまの高校生考案「発酵ツーリズム」レポート その1

2022.3.30

会津農林高校 Presents

発酵の真髄を知る旅 ~風情醸す麹どころ会津に学ぶ~


福島県会津坂下町の福島県立会津農林高等学校の生徒の皆さんが、地域の事業者の方々と一緒に学習や取材を重ねて、発酵に関連した地元の魅力について考え、アイデアを出し合い、発酵にまつわる体験コンテンツと1泊2日のツアー作りに取り組みました。


2021年12月4日朝、記念すべき第1回ふくしま発酵ツーリズムモニターツアーの参加者が福島県内各地から集まり、バスで出発しました。


まず向かった先は、ツアーを考案した高校生が通う会津農林高等学校。生徒たち自身がお出迎えし、会津農林高校直伝の手作り味噌仕込み体験が始まりました。



参加者全員が、味噌仕込みは初めて。生徒たちは丁寧にレシピを説明しながら、参加者をサポートします。

まずは蒸した大豆をつぶす作業から。保存容器に入れた大豆を手作業で根気よく砕いていくと、何となく味噌の原型のようになってきました。
次に、ほどよくつぶした大豆をボウルにあけ、塩切麹を混ぜ合わせます。大豆と麹が均等に混ざるよう、よく捏ねていきます。
ここまで来たら、あとは発酵の力にお任せ。容器に入れて持ち帰り、3~4ヵ月後に天地返しをし、さらに3~4ヵ月ほど熟成させると手作り味噌の完成です。参加者は「おいしくできるといいなぁ…」と待つ楽しみを感じたり、おばあちゃんが味噌を仕込む姿を思い出したりしたようです。
やがてお昼となり一旦休憩に。昼食には、会津産の蕎麦粉で作ったお蕎麦をいただきました。これも生徒たちによる挽きたて・打ちたて・茹でたての「三たて」のお蕎麦です。味噌が添えられた新鮮な朝採りキュウリもいただきました。


美味しい昼食をいただいた後は、本田屋本店の栗城さんのサポートで味噌玉作り体験のスタートです。
出汁粉を混ぜ合わせた味噌を丸め、様々な具材をトッピングしていきます。トレイに並べるとカラフルでまるでお菓子のよう。味噌玉の完成です。
さっそくお湯を注いで味噌玉を溶かし、お味噌汁をいただきました。参加者から「具材をいろいろ考えるのが楽しい」「手軽にできて保存もでき、しかも美味しい」という声があがり、高校生たちも満足そうでした。

高校生たちは「発酵食品は美容や健康にも効果が期待でき、コロナ禍でそれらに対する意識が高まっていることを知りました」「発酵食品は活用方法が幅広く、上手に扱うことで楽しみ方がどんどん広がることがわかりました」など、発酵の魅力を実感していました。

また、「会津の味噌やお酒・甘酒は風味がよく、会津にしか出せない味がします」「味噌醸造元の見学や、味噌玉作り体験、ツアー作成、プレゼンテーションなど、たくさんのことを学ぶことができました」など、地元・会津の魅力を再発見し貴重な体験となる、かけがえのないプログラムになったようでした。
高校生たちとの別れを惜しみながら、続いて向かったのは八二醸造。会津坂下町で味噌・醤油作り二百年の伝統を守り続けています。
参加者は「八二」の由来から商品を活かしたおいしいレシピなど様々なお話をうかがい、試食の田楽などもいただきながら、お買い物を楽しみました。
続いては会津美里町の新鶴ワイナリー。ここから生まれる醸造酒=ワインについてのお話を伺った後は、お楽しみの試飲。オリジナル干しぶどうをつまみながら、ふくしまのワインの美味しさをじっくり味わいました。
ほろ酔いでバスに乗り込み、今日のお宿、会津若松市の東山温泉「原瀧」へ。

夕食では、まず会津の酒蔵鶴乃江酒造の酒粕を使った甘酒で乾杯。ニシンの山椒漬や自家製粕漬けなどの発酵食品がよく合います。馬刺しなど会津の郷土料理や、会津産のコシヒカリも満喫し、お腹いっぱいになるまでいただきました。
もちろん、お宿自慢の温泉も堪能したのは言うまでもありません。
気持ちよく目覚めた2日目。最初に訪れたのは会津若松市内の会津塗伝承館 鈴善漆器店。会津の暮らしとともに歴史を歩んできた、伝統の会津塗の蒔絵体験です。
もみじの葉を利用して型を取ったり自由な絵を描いたりと、それぞれのオリジナルの絵柄が出来てきました。そこにキラキラした色の粉を乗せ、余分な粉を拭き取ると、絵柄の部分だけに色が乗った美しい蒔絵のお椀が完成しました。
続いて同市内の末廣酒造へ。嘉永蔵の伝統ある酒蔵らしい見事な木造建築にまず圧倒されます。
酒造りの行程における麹菌や酵母による発酵の過程や、酒造好適米についてなどの説明を受けました。
続いて試飲。フルーティーな吟醸酒や旨味を感じる純米酒など、全国新酒鑑評会8回連続金賞受賞数日本一を誇るふくしまの酒の実力をしっかりと味わいました。
おいしいふくしまの酒のおかげでいい気分のまま、昼食のため訪れたのは、こちらも歴史を感じさせる重厚な佇まいの渋川問屋
まずはにごり酒で乾杯し、続いてこづゆやにしんの天ぷらなど、心づくしの会津伝統料理に舌鼓を打ちました。
渋川問屋の前は、レトロな街並みの七日町通り。可愛らしい会津塗の器のお店などでのお買い物を楽しんで、今回の旅の締めくくりとなります。


発酵の真髄を知る旅、というテーマにふさわしい、ふくしまの発酵の魅力を十分堪能できる旅でした。