ふくしまの高校生考案「発酵ツーリズム」レポート その2
2022.3.30
田島高校 Presents
発酵の真髄を知る旅 ~風情醸す麹どころ会津に学ぶ~
ふくしまの高校生が考案した「発酵ツーリズム」、第2回は福島県南会津町の福島県立田島高等学校の生徒の皆さんの登場です。これまでの学習で、地域の事業者の方々から、発酵食品は美味しくて美容や健康にも効果が期待でき、意識してみると実は身近にたくさんあって簡単に取り入れることができる、ということを学んできた生徒たち。第1回の会津農林高等学校と同様、地域の魅力について熟考を重ね、発酵をテーマにした魅力的なウェルカムメニューと1泊2日のツアー作りに取り組みました。
2021年12月11日朝、第2回モニターツアーの参加者を乗せたバスが出発。最初の訪問先、酒販店みのやに到着すると、店主の高橋さんが南会津にある4つの酒蔵について説明してくれました。
南会津の4蔵の、異なるタイプの日本酒を用意いただき、試飲です。
純米にごりやしぼりたて原酒など、それぞれの特徴ある味わいを確かめながら、ふくしまの酒の美味しさを実感していました。
バスの窓に広がる南会津の風景を楽しみながら、向かった先はゲストハウス ダーラナ。こちらで昼食です。
ヨーロピアンなインテリアに囲まれたテーブルにつくと、素敵なお皿に、目にも美しいお料理が次々と運ばれてきました。
まずテーブルに運ばれてきたのは、上品な盛り付けの「アボカドムース」と「イワシのマリネ」。アボカドムースは濃厚な舌触りとさっぱりとした味わい。イワシのマリネの酸味が食欲を増進させます。
味噌が隠し味の「なめこのスープ」は、まろやかでコクのある風味が口の中に広がります。
メインディッシュは、仔牛のクリーム煮ディル風味の「ディルショット」。ハーブの香りがお肉と野菜の旨みを引き立てます。魚料理「岩魚アーモンド焼き」と「魚貝のグラチネ」も美味しくいただきました。
デザートは「レアチーズケーキ、南郷トマトのコンフィチュール添え」。濃厚なレアチーズケーキと、南会津特産の南郷トマトで作った爽やかなコンフィチュールが絶妙にマッチ。コーヒーもいただいて大満足のランチとなりました。
続いては同じ南会津町の会津酒造。外観から歴史を感じさせますが、中に通されて改めて、江戸時代から続く造り酒屋の佇まいに圧倒されました。
杜氏の渡部さんから、醸造における発酵の役割など、会津酒造の酒造りについて詳しくお話しいただき、参加者は真剣に耳を傾けていました。
続いては道の駅きらら289。国道289号線沿いにあることから命名されました。現地でないとお目にかかれない物産品も並び、参加者はじっくりとお土産を選んでいました。
陽が傾きはじめた中到着した今回のお宿は、会津温泉 星の郷ホテル。
田島高校生考案、老舗御菓子司三浦屋さん制作・協力の「甘酒おしるこドリンク」がウェルカムメニューで振る舞われ、冷えた身体を温めてくれました。
夕食では、日本酒にぴったりのニシンの山椒漬やいかにんじんなど、「地元酒で乾杯条例」がある南会津町らしい先付に始まり、会津の郷土料理こづゆやわっぱ飯、身しらず柿など、会津にこだわった郷土の味を堪能しました。
お天気に恵まれた2日目の朝。最初に訪れたのは、ほしっぱの家。ここを会場に、一十八日ブランド製品を使ったアロマ体験が行われました。
一十八日のアロマ製品は、南会津産クロモジなどを原料に使用しており、雪深く底冷えする南会津の気候からその香りは一段と濃いと言われ、高い評価を得ています。
会場全体が心地よい香りに包まれ、アロマの選び方や楽しみ方について学ぶことができました。
続いて昼食のため会津田島祇園会館へ。ここでは800余年の伝統を誇る国指定重要無形民俗文化財、会津田島祇園祭について詳しく知ることができます。
昼食後、今回のツアーを考案した田島高等学校の生徒たちが会津田島祇園会館を訪れ、参加者と対面。これまでの学習を通して自分たちが考案した南会津ならではの発酵ウェルカムメニューについて、参加者へ発表をしてくれました。
その後運ばれてきたのは「甘酒ヨーグルトと南郷トマトのカップスイーツ」。これは、生徒たちが開発した、南会津特産の「南郷トマト」のジュースを使用した発酵デザートです。同じ南会津町の御菓子司三浦屋が、高校生たちの夢を実現するため、試作を重ねた上に完成させたもの。試食した参加者からは「美味しい!」という声が次々にあがりました。
生徒たちは「自分たちで考えたスイーツが三浦屋さんの協力のもと形になって、試食もできたことがうれしかった」「実際に食べてもらって『美味しかった』という声が聞けてうれしかった」「普段なかなか経験できないようなことや、今まで知らなかったことを調べたり感じたりすることができて、すごく良い機会になりました」と話してくれました。また、発酵がこの先どんな風に形を変えていくことができるのかが最大の魅力だと思います、とも語ってくれました。
続いて訪れたのは、旧い建物をリノベーションしたCAFÉ JI-MAMA。
ここでいただいた「甘酒フォンダンベリー」も、田島高校の生徒たちが考案したもの。地元の御菓子司三浦屋に製造協力いただいて完成させました。ショコラ生地の中に、地元土っこ田島farmの甘酒と、ラズベリーが入ったさっぱりとしたお味で、甘酒が苦手な方でも美味しくいただける発酵スイーツです。美味しいコーヒーと共にいただきました。
旅の最後に訪れたのは、生徒たちのアイデア実現のために協力していただいた、御菓子司三浦屋。地元鴫山城にちなんで名付けられた銘菓「鴫山」の製造販売元です。
ここで参加者一人ひとりに、旅のお土産として特製の「酒粕パン」が配られました。ほんのりと漂う香りは会津酒造の酒粕で、これも田島高校の生徒たちが考案し、三浦屋が製造協力したものです。
お土産と思い出をたくさん抱えて、陽が落ちてくる南会津を後にしました。
今回も、田島高等学校の生徒たちの思いがひしひしと伝わる良い旅となりました。