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2025.02.03(月) 16:00 取材記事(教育旅行)NEW佐賀県立佐賀西高等学校が福島県で初めて修学旅行を実施しました

被害を受けた請戸地区を見渡す(大平山霊園)

震災と原発事故の推移を学ぶ(伝承館)

対話後、生徒代表からお礼のあいさつ

班ごとに自分の考えを共有(さすけなぶる)

[日程]令和6年12月17日~19日(福島県内2泊)
[学校名・学年・人数] 佐賀県立佐賀西高等学校 266名
※12月18日に実施したコース別学習を取材させていただきました。 

[取材内容]
 佐賀県立佐賀西高等学校が初めて福島県で修学旅行を実施しました。県内滞在2日目は学びたいテーマごとにグループに分かれてホープツーリズムを行いました。
 午前中は震災遺構の浪江町立請戸小学校の見学からスタート。続いて大平山霊園、東日本大震災・原子力災害伝承館の順番で回りました。請戸小学校と伝承館で、東日本大震災の爪痕や原子力災害に関する詳細な記録と復興への取り組みを学んだほか、大平山霊園では同行したフィールドパートナーから、霊園のある請戸地区では原発事故による避難指示で救助活動が十分にできなかった経緯を聞きました。
 その後、大熊町大川原復興拠点内の交流施設「linkる大熊(リンクルおおくま)」で、東京電力ホールディングス福島復興本社の富川泰介さん・内田博昭さんと対話を行いました。富川さんからは「震災時に原発で何が起きたのか」「現在まで廃炉に向けてどのようなことが行われているか」などの説明をはじめ、原子力事故による全町避難でコミュニティが失われた双葉町・大熊町での新たな産業を創出する取り組みや、地域の伝統を守るために地域住民とお祭りを企画したことなどが紹介されました。
 質疑応答では生徒からの「福島第一原発の事故を受け、原子力発電所の運用マニュアルや世界の原子力発電所の安全基準に影響はあったのでしょうか?」との質問に、「日本では事故後に原子力規制委員会が新規制基準を策定しました。地震や津波などの非常災害への対策、非常電源の在り方などに厳しい安全基準が設けられ、これをクリアしないと原発は運転できないようになっています。」と回答し、原子力発電所の現状について理解を深めました。
 最後は、Jヴィレッジに移動し、避難所運営シミュレーション教材「さすけなぶる」を実施しました。生徒らが避難所運営者の立場となり避難所で起こり得るさまざまな問題を考え、正解のない問題に対して柔軟に対応する視点を持つことの重要性を学びました。

【生徒のコメント①】
「福島県に来たのは初めてで、自分から震災について調べる機会もこれまでありませんでした。今回、東京電力社員の方と対話を希望したのは、原発事故の当事者である企業から震災や原子力災害について詳細な話を聞きたいと思ったからです。実際にお話を聞くと、福島の復興のために住民の暮らしの支援や放射線についての正しい知識の啓蒙にも力を入れていることを知ることができました。午前中に見学した請戸小学校では普段目にしているような景色が破壊された様子を目の当たりにし、多面的に震災というものを理解することができた一日でした。」
(野口 桃花さん) 

【生徒のコメント②】
「特に印象に残っているのは東日本大震災・原子力災害伝承館です。地震や津波の被害の大きさにも驚いたのですが、その後の除染や風評被害との闘いについての記録も多く展示されていて、地域住民の方が長い年月苦労されてきたことが伝わってきました。今回は原発事故に対して加害の側面を持った立場からの意見を聞きたいと思い、東京電力との対話を希望しました。佐賀県にも玄海原子力発電所があるので原発事故は他人事ではありません。実際に事故が起きてしまった福島第一原子力発電所のことは他県の人よりも自分事として考えなくてはならないことだと思いました。今回学んだ知識は帰ったら身近な人にも伝えていきたいです。」
(竹重 俊佑さん)

【先生のコメント】
「これまで修学旅行は主に関西方面で行っていたのですが、今回から災害学習を取り入れることとなり、原子力災害のあった福島県での実施を決めました。生徒たちは請戸小学校に着くまでは移動の疲れが見られたのですが、実際に校内を見学し、肌で地震の威力を体感するうちに次第に真剣な顔つきになるのが感じられました。東京電力との対話では私自身も初めて聞くような話ばかりで大変勉強になりましたし、震災後の具体的な廃炉作業や避難指示地区との関わり方なども知ることができました。自然災害は常に起こり得ることだと思いますので、生徒たちには将来、今回の学びを活かして予測がつかない大変な状況でもお互いを尊重して助け合って生きていける人材になってくれたらうれしいです。」
(2学年担任 浜崎 勇太先生)

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